第8回目の公開講座がありました。
今回は、東京海洋大学准教授の濱田武士先生
(専門:水産経済・漁業経済)に「原発事故からの漁業復興」
と題してお話しをしていただきました。
(専門:水産経済・漁業経済)に「原発事故からの漁業復興」
と題してお話しをしていただきました。
講義ダイジェスト------------------------------------------
①
海洋汚染について
海水のセシウム濃度は、原発事故直後は高かったものの、大量の
海水により、薄まったため現在は極めて低い状態が続いている。
海水により、薄まったため現在は極めて低い状態が続いている。
水産物の放射性物質検査の結果は、平成26年の4,5月には
100Bq/kgを超えるものは、福島県で全体の1.9%、福島県外では
0.4%であった。
100Bq/kgを超えるものは、福島県で全体の1.9%、福島県外では
0.4%であった。
放射性物質汚染の影響は、海産物の種類によって異なる。
エビ・カニ類やタコ・イカでは、原発事故の初年度からほとんどセシ
ウムは検出されていない。また、貝類からのセシウム検出量は減少し
現在ではほとんど検出されることはない。
エビ・カニ類やタコ・イカでは、原発事故の初年度からほとんどセシ
ウムは検出されていない。また、貝類からのセシウム検出量は減少し
現在ではほとんど検出されることはない。
一方、カレイやヒラメ、スズキなどでは、セシウムの量は減小しつつ
あるが、現在でも100Bq/kgを超える量が検出されるケースがある。
あるが、現在でも100Bq/kgを超える量が検出されるケースがある。
魚については、エサとして何を食べているか、および大きくなるまで
の期間・年数に関係している。つまり、魚をえさとする魚や、何年もかけ
て大きくなる魚では、セシウムが蓄積しやすい。
の期間・年数に関係している。つまり、魚をえさとする魚や、何年もかけ
て大きくなる魚では、セシウムが蓄積しやすい。
②
福島県漁業の試験操業
安全性を確認しながら、漁獲、取引、加工、流通販売をしている。
試験操業を通じて再開可能なことをアピールしつつ、徐々に拡大して
本格的な操業再開につなげることが目的。
本格的な操業再開につなげることが目的。
漁業者の組合である漁連が中心となって、放射性物質の検査、販売
物の管理をしている。これまで、検査により安全性を確認しながら、魚種
や海域、漁の方法などを徐々に拡大してきた。
2014年6月現在では40種類の魚介類が対象である。
物の管理をしている。これまで、検査により安全性を確認しながら、魚種
や海域、漁の方法などを徐々に拡大してきた。
2014年6月現在では40種類の魚介類が対象である。
しかし、漁獲高は震災以前の1割にも満たない量である。
それは、ただでさえ自然に左右され不安定な漁業が、月数回しか漁に
出られず、魚種も限定されているためである。そのため、流通・販売段階の
市場やスーパー等の量販店にとっても取り扱いにくいものになってしまって
いる。
それは、ただでさえ自然に左右され不安定な漁業が、月数回しか漁に
出られず、魚種も限定されているためである。そのため、流通・販売段階の
市場やスーパー等の量販店にとっても取り扱いにくいものになってしまって
いる。
また、底引き網などの方法では、狙った魚だけを漁獲することは不可能で
あり、出荷制限が解除された魚種以外は捨てている状況にある。
あり、出荷制限が解除された魚種以外は捨てている状況にある。
試験操業は文字通り「試験的」な段階であり、安全性を確保しながら、
魚種の拡大をし、本格的な操業再開を目指す必要がある。
魚種の拡大をし、本格的な操業再開を目指す必要がある。
③
汚染水漏洩問題による風評
福島第一原発の汚染水漏洩問題が、試験操業に大きな影響を与えている。
試験操業はこれまでの調査に基づき、安全な海域や魚種に限って行われ、
検査をした上で流通しているが、汚染水漏洩が報道されるたびに風評による
影響を受けた。漁業者の操業意欲の減退が問題となる。
検査をした上で流通しているが、汚染水漏洩が報道されるたびに風評による
影響を受けた。漁業者の操業意欲の減退が問題となる。
放射能汚染の風評被害対策もふくめ、食品の安心の確保には消費者と生産
者の直接的なコミュニケーションがより活発になる必要があるのではないか。
者の直接的なコミュニケーションがより活発になる必要があるのではないか。
先生からの講義の後、会場から、現在の福島県での水産物の地産地消の
状況について質問がありました。
状況について質問がありました。
濱田先生からは、まだ、浜通りでの地産地消は極めて限定的であるという現状が
紹介されました。その理由として、元々の海産物の流通経路が複雑であること、
漁獲量が少なく不安定であることが挙げられ、生産・流通・小売りの各段階で課題を
抱えているという回答をいただきました。
紹介されました。その理由として、元々の海産物の流通経路が複雑であること、
漁獲量が少なく不安定であることが挙げられ、生産・流通・小売りの各段階で課題を
抱えているという回答をいただきました。
来週は福島大学うつくしまふくしま未来支援センターの小松先生が講義されます。
テーマは「福島県県北地域の農業経営と農業復興」です。
どうぞお気軽にお越し下さい。
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